時折、痩せた土とはどういう土ですか?という質問をいただきます。

皆さんはどう思いますか。それは植物が育たない土でしょうか、それとも栄養分が枯渇した土でしょうか?

専門用語でいえば、CEC(カチオン・エクスチェンジ・キャパシティーの略。日本語で陽イオン交換容量といい、100g当たりの乾土に栄養分としてのプラスイオンをどれくらい蓄える力があるかを示す。数字が小さい程性能が低いことを示す。12meq/100gくらいあると豊かな土といわれる)が小さな土でしょうか?

 

いずれも結果としては正しい表現ですが、本質ではないといえます。

その本質をひとことで言えば、「微生物が少ない」ということにつきます。

 

微生物が少ない・・・普通は土1グラムに数億の微生物がいる訳で、微生物が少ない、あるいはいないなんてことはありえないと言われるかもしれません。

 

しかし、昨今の効率型農業においては、土壌消毒や農薬の使用は当たり前に行われています。それはあたかも習慣のように実施されています。必要の有無とは関係なく・・・です。

そして、土壌消毒薬や農薬は、土の中の小動物や微生物を無作為に殺戮してしまいます。

もちろん、土壌消毒や農薬を使った後には、一定の時間をおいて微生物は増えてくるでしょう。いいものか、悪いものかは別として。

 

元々、土の中には生態系という生物同士が支え合って創る自然のバランスが存在しています。悪いものが増えれば、その天敵が活躍し、数を増やさないようバランスを整えようとします。

しかし、人間は大きなものを作りたい、たくさん収獲したいというような自らのエゴで農作物を作ります。そのために自然界にはない様々な薬品を用いて、害虫を排除しようとします。

本人は害虫だけを退治しているつもりなのですが、農薬や消毒薬には狙ったものだけを駆除するような選択式機能がついているものはほとんどありません。

原則として、土の中にいる生き物全てが対象になります。まさに大量虐殺です。

 

人間が土壌に対して行う消毒薬による土壌消毒の実施で、土壌中の微生物量は限りなくゼロに近づくことがわかっています。

一旦そうなった土には、薬品耐性の強い病原微生物や害虫が集まってきます。これらの病害生物の天敵となる小動物や有用微生物が戻ってくるのは、ずいぶん先の話です。

ですから、生態系が再構築されるまでは、植物の病気が頻発することも避けられませんし、土自体も有用微生物が生産・蓄積する腐植(栄養を吸着するタンクのようなもの)が補給されなくなるので、急速に疲弊してしまいます。

 

微生物がいない/少ない土壌は、栄養を生み出す力も少ないし、栄養を蓄える力も小さくなります。病害微生物の繁殖が多くなり、植物傷病が頻発するようになります。

結果として、農作物の生産性は著しく低下しますから、微生物の少ない土は痩せた土であるということになるのです。