微生物と聞くとなんだか難しそうと思ってしまう方が大半なようですが、実は微生物はとても身近な生き物です。

よく知られているところでは、腸内フローラや皮膚の常在菌。
チーズやヨーグルト、食中毒やお風呂の黒ずみ汚れなども微生物の働きによるものです。
人間の生活と微生物の活動は切っても切れない関係にあって、微生物の働きによって私たちの健康が維持されているといっても過言ではありません。

しかし、なんといっても、普通には目には見えない生き物です。
汚れのようになったり、悪臭やヌメリが出たりしないと人間には認識されないので、とかく悪役のように扱われがちです。
また、巷に抗菌・殺菌を謳うグッズが沢山あるために、微生物がいること自体が悪いことのように思われたりもします。

実際には、微生物を駆除しすぎることで生じる病気や健康被害も多く、現代の人間のカラダは微生物由来の病気に対してかなり抵抗性が低くなっているとも言われます。
むろん、中には本当に危険な微生物もいますから、生活環境を衛生的に保つことは大切なのですが、本来絶妙なバランスの上に成立している微生物の活動を人間の都合で変えてしまったりすると、かえって対処しにくい状態を生じさせますので、注意が必要です。

そしてこれは重要な点なのですが、微生物にはいい働きをするものと悪い働きをするものがいます。よく聞く言い方としては、善玉菌と悪玉菌です。
この善玉/悪玉という言い方ですが、これは絶対的な性能を表すものではありません。
ある現象に対して、人間にとって都合のいい結果を得られる働きをする微生物を善玉、都合の悪い結果をもたらす微生物を悪玉とそれぞれ便宜上呼んでいるに過ぎず、別の現象においては悪玉菌だったものが、善玉菌と判定されることも多々あるのです。
すなわち、微生物の良し悪しというのは、すべからく人間の都合を中心に考えて判断されているわけで、自然界においては、どの微生物の効果も欠けてはならないものとして存在しているのです。
ですから、人間にとってのデメリットがあるからといって、特定の微生物を排除しようとすると、本来その微生物がいたポジションに別の微生物が入り込んでしまう現象が起き、当初より状況が悪化してしまうことも珍しくないのです。

人間からすると微生物の活動など微々たるものと捉えてしまいかねないですが、実際の微生物の働きはとんでもなく強力で、場合によっては人間の生死にも影響してしまうほどのものです。
それくらい重大な微生物のチカラを借りようとするときには、利用する人の学習能力とバランス感覚が重要になります。
例えば、昨今出回っている微生物入り資材と呼ばれる農業資材らしきものが、どういった効果を持ち、どのような影響を及ぼすものなのか、自然界のバランスの理念にしっかりマッチしたものなのか、といった点を熟知した上で使用しないとよい成果にはつなげられません。

人間社会に最も近い存在で、とてつもなく大きなチカラを持った微生物。
人間のエゴや都合を優先させたのではない、自然との共存を大事にする、新しい付き合い方を模索していく必要があります。